2022年5月20日

イマドキ家族の家づくり3つのポイント【収納編】

皆さん、こんにちは!遊建築設計社の松浦です。
このシリーズでは、共働き・子育て世代に選ばれている『人気の間取り』についてお話しさせていただきます。

私たち遊建築設計社では、20年を超える期間の中で、毎年500プラン以上の間取りを計画してお施主さんにお届けしています。
当然ながら、間取りは、建物の性能・技術力の向上や、住まう人の価値観の変化に伴って絶えず移り変わってきました。住まいは、時代と共に志向される暮らし方も生活空間も異なるのです。

本シリーズでは、現在の共働き世帯や子育て世代が求める住まい方を『イマドキ家族の家づくり』と称してご案内いたします。

特に、彼らが「過ごしやすさや暮らしやすさ」のために住まいに取り入れたいことを「3つのポイント」にまとめ、順を追ってお話しいたします。

【3つのポイント】
■ ゆとりある生活を過ごすための『収納』
■ 使い勝手にこだわった『水廻り』
■ 新しいライフスタイルのための『+スペース』

また、私たちは、日々の業務の中で時代の変化を捉えて住まいを計画し、それらを集めて「間取り集・ベストセレクション」を毎年制作し続けてきました。参考資料として添付させて頂きました間取りは、その間取り集に収録されているものです。
解説も含めてご覧ください。

トレンドを捉えた「間取り集」の詳細はこちらからご覧頂けます。

それでは、今日明日に役立つ内容ですので、最後までお読みください。

ゆとりある生活を過ごすための『収納』

共働き・子育て世代は、夫婦ともに日々職場と家庭を行き来し、常に忙しく時間のない生活に追われています。
そんな彼らは、住まいではとにかく家族の触れ合いを第一に考えて生活をおくりたいと考えていらっしゃる世代です。

仮に、収納力が不足していてモノが部屋に溢れ出ており、常に片づけを余儀なくされていたならいかがでしょうか。「毎日、片付けのために家に帰るのではない!」と思われるでしょう。

例えば、収納するスペースが十分に確保できていたなら、部屋のお掃除は、片付けながらの掃除機掛けではなくなり、スムーズに短時間で終わらせることが出来ます。
その結果、部屋はいつもキレイに保つことができる様になります。

彼らの世代にとっての収納は、掃除、料理、洗濯などの家事に追われない生活を送るためにはとても重要な役割を担っているのです。

最近、特に人気がある収納スペース

予算や法的に可能ならば設けたいと言われる「収納スペース」は、玄関収納庫(シューズクローク)、パントリー、ファミリークローゼットと主寝室に併設されるウォークインクローゼットなどでしょうか。

玄関収納庫(シューズクローク)には、クツ以外にも屋外で使うスポーツ用品、趣味で使うキャンプ用品や釣り道具を収納することが出来ます。
屋内に持ち込むと土や砂などが落ちてしまうようなモノを入れておけるのが人気の理由でしょうか。また、お出かけ用のアウターウェアや帽子を掛けて置けるハンガーパイプがあるととても便利です。

パントリーには、食品や食器類、更には、トイレットペーパーや洗剤などの日用品を収納することが出来ます。
特に、共働き世帯は、毎日お買い物に行くことが難しく、お休みの日に1~2週間分の買い物をしてストックできるスペースを希望される方が多いです。

ファミリークローゼットには、リビングやダイニングで使うゲーム機やオモチャ、読みかけの新聞に雑誌、少し寒いときに使いたいひざ掛けなどが収納できます。
最近は、室内着や室外着を収納しておいて、帰宅時やお出かけ時に着替えるスペースとして使いたいと希望される方が多くなりました。

ウォークインクローゼットには、上着や下着、ハンカチやネクタイなどの小物、旅行用のカバンなどを収納します。中には、節句飾りや冬用の掛布団を仕舞われる方もいらっしゃいます。
ウォークインタイプの収納庫に人気があるのは、壁付けのクローゼットに比べて、部屋の容積一杯に使えることで収納量が格段に多くなることでしょうか。

そして、最後に忘れてはいけない収納が、共用収納です。
このスペースには、家族共用で使う掃除用品(洗剤・ダスターなど)や掃除機、読み終わった新聞に雑誌、ミシンや修理用の家庭用工具箱などが収納できます。この収納は、何でも仕舞えて意外と便利です。
長年の経験から、2階建てならば上下階にそれぞれ1ヶ所ずつ設けることをお勧めしています。

収納力を重視した『人気の間取り』

では、添付しました間取り(No.1)をご覧ください。

間取り(No.1)

玄関横には、屋内・屋外で使うモノをまとめて収納できる2帖分の①玄関収納庫(収納)があります。住んでからの評価が高いのは、玄関から靴のままで入り、クツを棚に収めて室内へ移動できる2WAYタイプの収納庫になっていることでしょうか。

キッチンの横には、1.5帖の②パントリーがあります。L型の収納棚は、収納力が多いこともさることながら、一目でどこに何があるかが分かるような棚の配置が人気です。

LDKに付随して、2.5帖の③ファミリークローゼットがあります。図は、壁の一面にハンガーパイプを設けて服を掛けられるようになっていますが、一部を棚にしてリビングで使う小物を収納することも可能です。

この間取りで人気があるのは、それぞれの収納スペースがいずれの方向からも出入りができ、更に収納同士が動線でつながっていることです。住まいの中では、行ったり来たり戻ったりというような無駄な動きを省きたいと誰しも思っています。

この間取りの中で、お家に帰ってきてから、あるいは朝起きてからお出かけするまでの生活動線を想像してみてください。片付けやすい位置に、必要な大きさの収納があって生活のしやすさが垣間見えるような間取りとなっていませんか。

私たちは、過ごしやすい住まいをつくるためには、収納計画がとても重要と考えています。
計画上の注意点は、第一に「収納するモノごとに必要なスペースを確保すること」、第二に「使い勝手を考えた収納棚などのレイアウトを行うこと」です。その上で、それぞれの収納が的確に付随するスペースに接して設けることを心掛けてください。

上手な収納計画をすることで、家族みんなが気持ちよく、ゆとりのある生活がおくれることとなります。

次回は、二つ目の使い勝手にこだわった『水廻り』についてお話しいたします。

共働き・子育て世代の家庭生活は、水廻りの配置やその使い方によって大きく変わります。彼らが求めている生活スタイルをお話しいたしますので、お楽しみにお待ちください。

松浦 喜則
一級建築士 / 遊建築設計社 代表松浦 喜則

平成4年、遊建築設計社を設立。「住まいの文化座」を主宰し住宅会社の設計や、 営業マンに提案ノウハウを伝授。合理的で、簡単なプラン提案の手法は好評。年間500棟のプランニング実績から生まれた、接客用ツールを開発。

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全国の住宅会社・工務店とともに設立した「デザイン住宅に特化した会」です。時代に合った生活提案力のある商品企画、社員力向上のためのデザイン研修、定期会合や文化交流会(建物見学会)などによる情報交換を行っています。

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