2022年11月18日

2023年人気間取りのポイントとは?お客様が共感する“通過型の収納”

皆さん、こんにちは!遊建築設計社の松浦です。

本日は、共働き・子育て世代に選ばれる 『人気の間取り』についてお話しさせていただきます。

私たち遊建築設計社では、毎年500プラン以上の間取りを計画して住宅会社さんにお届けしています。

更には、皆様からの問い合わせもあり、その実績の中から来年を予測する「人気の間取り集・ベストセレクション(120プラン収録)」を毎年制作しております。
手前勝手ではありますが、ご好評をいただいておりまして、かれこれ5年間発行し続けております。

ご存知のように、間取りは、建物の性能・技術力の向上や、住まう人の価値観の変化に伴って絶えず移り変わります。住まいは、時代と共に志向される暮らし方も生活空間も異なるのです。

したがって、2~3年前の間取りを見ますと、大変古く感じてしまいます。そのため私たちは、常に先を予測しながら制作しております。

6年目となる間取り集・ベストセレクション2023年度版は、第一次取得者層となる共働き・子育て世代をターゲットに制作しました。特に、ミレニアム世代(2023年に、27才~42才となる人たち)の方たちに向けた間取りを予測し収録しております。

この世代の価値観は、「オシャレな暮らし」から「心地よい暮らし」へと変わりつつあります。即ち、日常を気持ちよく過ごすことに関心が高まっているようです。

本日は、この世代の人たちにフォーカスし、彼らが共感し納得する間取り、特に「収納の在り方」について分かりやすくご案内いたします。
また、参考資料として添付させて頂きました間取りは、その間取り集に収録されているものです。解説も含めてご覧ください。

それでは、今日明日に役立つ内容ですので、最後までお読みください。

家族みんなで使う「収納」

いつの時代でも、家づくりの中で良くも悪くも話題になるのが「収納」です。

ここ数年、予算や法的に可能ならば設けて欲しいと言われる「収納スペース」がいくつかあります。

玄関脇で靴や傘などを収納する「玄関収納庫(シューズクローク)」、食品・食器や日用品を収納する「パントリー」、リビングやダイニングで使う物を収納する「ファミリークローゼット」、寝室に接して上着や下着、家族の季節物を収納する「ウォークインクローゼット」、各階にあり、掃除機などの生活用品などを収納する「共用収納」です。

これらは、どれもこれも人気があり、間取りに設けたことによってお施主さんの満足度が上がりました。

ところが、時代が少し変わりまして、この様な「収納スペース」を設けただけでは、お施主さんからの賛同を得にくくなりました。その理由は、「共働き世帯・子育て世代」の日々の生活にあるようです。

家づくりの様々なアンケートを参考にすると、「効率よく家事をこなしたい!」という希望が増えています。そこから推察されるのが、この世代のご夫婦は、仕事に家事、子育てととても忙しい生活をおくっているということです。

私たちは、お施主さんの納得を得るために、家族が共用で使う「収納の在り方」を検討しなければなりません。

収納の新たなカタチ ~仕舞って取り出しやすい~

これからは、資材の高騰や建物予算の低下を考えて、建物の延べ面積をより小さく安価に仕上げ、かつ「心地よい暮らし」を実現するための収納を設けることが重要と考えています。

今や、収納スペースは、広さではなく、使いやすさが求めれていると言っても過言ではありません。
即ち、「収納スペース」は、あったら良いではなく、とても便利で使いやすい収納が求められているのです。
それが、日常的に使う動線上に設けた「収納スペース」のことです。

“しまう”ためだけではなく、“取り出す”ことにも使いやすいことが重要となります。蓋(ふた)をして扉を閉めてしまっておく収納庫では、活発なモノの出し入れが行われず日常の生活に役立たないスペースとなってしまいます。

ただでさえ建物の延べ面積が小さくなっているときに収納スペースを除いた床面積で生活を強いられているようなものです。次から次へとモノが増え続けた結果、お施主さんから、「収納不足!」と言われてもやむを得ません。

家族が共用で使う「収納」を、日常の暮らしをちょっと良くしたり、日々の小さなイライラを解消したりするために、二つの工夫が必要です。

一つは、分散せずに兼ねられるのであれば一つにまとめること。
二つ目は、2WAYや、3WAYできる通過動線上に収納を設けることです。

そのような収納スペースを、私たち遊建築設計社では、家族がみんなで使う収納という意味合いを込めて、「ファミリーシェアクローゼット」と名付けて読んでおります。

ファミリーシェアクローゼットは、通路の片側、または両側に収納棚やハンガーパイプがあり、その出入口が、様々なスペースと繋がっています。収納が、日常の暮らしの動線にはめ込まれたことによって、効率よく家事をこなすことができる様になります。

更に加えて、家族の誰でもが、タオルやトイレットペーパーなどを仕舞う、取り出すといったちょっとした家事ともいえない作業も楽にこなせるようになります。

「ファミリーシェアクローゼット」を設けた参考間取り

では、添付しました東入りの間取り(No.1)をご覧ください。
間取りを動線で説明いたします。

ファミリーシェアクローゼットの参考間取り

  1. ① 玄関から入って靴を脱ぎ、洗面コーナーで手洗いうがいをする
  2. ② シェアクローゼットに上着とカバンを置く
  3. ③ その場所で部屋着に着替え、お腹が空いた!とキッチンへ・・・あるいは、
  4. ④ バスタオルを取って、シャワーを浴びる
  5. ⑤ 浴びた後、クローゼットで部屋着に着替え、2階へ上がる

如何ですか、「ファミリーシェアクローゼット」が、日々の生活の中でのハブとなっていませんか。これが、日常を過ごしやすくするための「収納の在り方」の提案です。

これからは、収納スペースをまとめて床面積を抑え、効率よく構成された収納中心の間取りが忙しい共働き・子育て世帯に求められるようになります。

プレゼンテーションで、「玄関収納庫、パントリーやW.I-CLを設けました!」、「収納率〇%、これだけあれば生活に不便を感じません!」では伝わりません。

むしろ収納不足を感じた方からのクレームがあるかも知れないのです。

暮らし方をプレゼンし、その使いやすさという「暮らしの質」を如何に伝えるかが重要です。皆さんもお施主さんとの「共感」と、「納得感」を共有しなければ「契約」に至らないということを今一度考えてみてください。

松浦 喜則
一級建築士 / 遊建築設計社 代表松浦 喜則

平成4年、遊建築設計社を設立。「住まいの文化座」を主宰し住宅会社の設計や、 営業マンに提案ノウハウを伝授。合理的で、簡単なプラン提案の手法は好評。年間500棟のプランニング実績から生まれた、接客用ツールを開発。

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全国の住宅会社・工務店とともに設立した「デザイン住宅に特化した会」です。時代に合った生活提案力のある商品企画、社員力向上のためのデザイン研修、定期会合や文化交流会(建物見学会)などによる情報交換を行っています。

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