プランニング 人気の動線計画とは?『お掃除の動線』編
皆さん、こんにちは!遊建築設計社の松浦です。
本日は、最近とても気になる『生活動線』の一つ「お掃除の動線」についてお話しさせていただきます。
住まいは、建てた時からお掃除という家事が始まります。
お施主さんは、すっかり建てることに夢中になりすぎていて「それを忘れていた!」というのがほとんどです。
生活の中での理想は、一つひとつ片付けながらお掃除をしたいのですが直ぐにはできない。掃除機もまめに掛けたいのですが近くに置いていない。結果的に、部屋の中が散らかり、時には山の様なゴミが出てしまうことにもなりかねません。
これでは、毎日お掃除をするために家を建てたことになってしまいます。
一般的に、間取りの打合せの中では、関心の高い部屋の大きさや、部屋と部屋の配置というゾーニングについて細かくお話しします。ところが、住んでからのお掃除について触れることが少ないとかと思います。
本日は、知っておくと良い「お掃除の動線計画」についてご説明します。
計画のポイント(秘訣)は、「二つ」あります。
一つは、収納スペースの位置。二つ目は、掃除機を掛けるルートづくりです。
これは、いわゆる動線計画のことです。
お掃除上手は「片付け名人!」
お掃除の始まり、先ずは片付けです。
モノが散在している中ではお掃除がしにくくなります。住まいには、一時的に出して使う料理器具や掃除用品などの生活に欠かせないモノがあります。
また、豊かに過ごすための趣味の道具や雑誌、子ども達のオモチャやゲーム機器などもあります。それらが、部屋の中にあふれ出すことがなく、常に仕舞える容量の収納がなければなりません。
当たり前のことですが、収納力があるからこそ部屋が片付くのです。
収納量を把握したら、モノを使う場所とそれを収納する場所の位置関係が重要になります。特に、動線的に近いことや、使うその場所に収納があることが大切なことです。
例えば、リビングで広げたモノを仕舞っておける収納(リビングクローゼット)や、便器や洗面器の掃除用具を収納するスペースが、部屋の中やドアを開けた先にあるように計画します。
サッと出して、終わったらすぐに片づけられることをイメージしてみてください。いつまでもモノが散在していることが無くなるような気がしませんか。収納する場所までが遠かったら、片付けが面倒になります。誰にとっても、効率よく片付けられる方が良いのです。
更に、こんなことを想像してみてください。
部屋の中に様々なモノが置かれたままの状態でしたら如何でしょうか。掃除機を止めて障害物を移動し、無くなったら掃除機のスイッチを入れることを繰り返す。イライラしてしまう、何となくキレイになればよいでは済ましたくないですね。
それよりも、床には、障害物が何もない状態をつくる。それならば、一気に掃除機を掛けることができます。どうでしょうか、とてもスムーズで気持ちがいいですね。お掃除の時間も少なくて済むのではないでしょうか。
すぐに片づけられることが、お掃除上手の「秘訣の1」となります。
お掃除上手は、「掃除機掛け名人!」
次に考えておかなければならないことは、掃除機を掛けるルートづくりです。
いわゆるお掃除の動線計画です。
掃除機掛けは、吸い込み口とモーターがある集塵ケースを同時に操りながらゴミやホコリを集めていきます。その際に、集塵ケースが壁や家具にあたったり、引っかかって動かなくなったりすることがあります。
ある時、「掃除機を持ってバックするなんてもってのほか!」と主婦の方がおっしゃっていました。まことに持って本当ですね、私も共感します。
掃除掛けは、意外と大変な作業なのですね。
そのことを踏まえて、私たちは、淀みのないルートづくりのために「シームレス動線」を推奨しています。
図の間取りの様に、LDK~玄関~ファミリークローゼットまで繋がる行き止まりのないシームレスな動線をつくりませんか。掃除機を入れてある掃除用具入れからスタートして、一筆書きのようにスイスイと回れる動線です。一周したら、集めたゴミを外に出す。気持ちよく掃除機掛けが終了します。
スムーズに掃除機掛けができる様にすることが、お掃除上手の「秘訣の2」となります。
住まいは、家族の共同生活の場です。
人が多ければただでさえ煩雑になりがちです。
住んでから失敗したと言われないように、いつでもお家をキレイにして過ごせるようにお掃除の動線計画を提案してみてください。お施主さんからは、「え、こんなことも先に計画するんだ!」という感心と信頼を得られることになります。
次回は、「ただいま・おかえり動線」について詳しくご案内いたします。
毎日の大切なご挨拶を交わせるための動線計画です。いつの間にか家族のコミュニケーションが取れる生活の方法を間取りでお伝えします。
皆さん、ご期待ください!
- 一級建築士 / 遊建築設計社 代表松浦 喜則
平成4年、遊建築設計社を設立。「住まいの文化座」を主宰し住宅会社の設計や、 営業マンに提案ノウハウを伝授。合理的で、簡単なプラン提案の手法は好評。年間500棟のプランニング実績から生まれた、接客用ツールを開発。