人気の動線計画とは?『お料理の動線』編
皆さん、こんにちは!遊建築設計社の松浦です。
本日は、最近とても気になる『生活動線』の一つ「お料理の動線」についてお話しさせていただきます。
皆さんも、日々の顧客打ち合わせの中で、或いはプランづくりの中でこの動線をとても重要視しているのではないかと思います。
特に、プレゼンテーションでは、料理を作って片付けるまでの使い勝手の良さをお話しできなければプラン確定には至りません。
それどころか、使い勝手が原因で間取りの他の部分まで気になってしまうこともあります。結果的に、料理動線を上手く解決している他社のプランがよりよく見えて『他決』してしまう。ウソのようで本当にあったお話しです!
動線計画の達人になるために、お料理の動線を、買い物・ストック・料理・食べる・片付ける・ゴミ出しに分け、一つひとつご案内いたします。参考に間取りを添付しましたので、ご覧になりながらお読みください。
玄関から、食品庫の「パントリー」へ
共働きのご夫妻は、仕事が休みの日に一週間分を買いだめすることが多いです。当然ながら、たくさんの買い物袋を持ってお家に帰ってきます。
「いやー、とっても安かったから思わず買ってしまったね。」
「パパ、大丈夫?重いでしょう。」
「平気、ヘイキ!仕舞いながらパントリーに運んでおくよ。」
両手に抱えた物は、料理に使うもの以外もあります。
玄関脇の収納庫や、ファミリークローゼットに荷物を振り分けながら食品庫のパントリーへ移動していく。そんなルートを計画すると、とても使い勝手が良いと高評価をいただいています。お客様を招き入れるリビングへの動線が「表動線」なら、この収納庫を通過する動線は、さしずめ「裏動線」でしょうか。二つの動線を設けることで、お客様の納得を引き出すことが可能になります。裏動線の計画ポイントは、ドアをなくすことです。両手がふさがっていても、ドアを開け閉めすることなく移動ができます。
パントリーから、「キッチン(料理)」へ
パントリーの近くには、カウンター(ミセスコーナー)があると便利です。
在庫を確認しながら献立を決めたり、今日の料理の食材を取り出して並べたりできます。そして、食材や食器を持ってキッチンへ移動する。とてもスムーズな動きです。
だから、キッチンで洗い、刻み、炒める調理が楽しくなります。
平日の夕方、ダイニングテーブルでお絵かきをしている娘に、
「お願い!パントリーから土鍋を出してもらえる。」
「はーい!」
ファミリークローゼットから回ってパントリーへ、よいしょっとキッチンへ運んでくる。
「今日は、おいしいお鍋で暖まろうね!」
ウーン、やっぱり我が家は使いやすい!と一人で感心してしまう私。
キッチンから、「ダイニングテーブル」へ
玄関ドアが開く音がして、パパが帰ってきたようです。ファミリークローゼットにカバンをドンと置き、上着を掛けてダイニングに顔を出す。娘が、笑顔で迎える。
「ママのお手伝い、エライねえ!」
「今日は、パパの大好きなお鍋だよー。」
ホッとする瞬間です。私も笑顔でお迎えします。パパのいつもの役割は、
「さあ、パパも手伝おうかぁ!」
キッチンカウンター越しに料理を受けとり、ダイニングテーブルに並べる。箸や取り皿を娘と一緒に運んで、
そして、皆で「いただきます!」
ダイニングテーブルから、「キッチン・勝手口」へ
「あ~、お腹がいっぱい!」
「冬は鍋に限るね、暖まったよ!」
「さあ、みんな手伝ってね。」
ご馳走様!その次は、みんなで後片付けです。私の指示で、手際よく食器をシンクに、残った料理は冷蔵庫に仕舞う。洗い物は、パパの担当。ゴミ出しは、ママの仕事。娘は、ダイニングから少しずつ運んでくる。ガチャガチャ、わ~いわい、我が家の微笑ましい光景です。
私たち家づくりをする者は、ご提案した間取りから、そんな幸せなひと時が想像できるようにプランニングしなければなりません。
それには、動線計画がとても重要となります。
即ち、動線とは、住まいでの生活そのものを表現しているからです。
本日のテーマである「お料理の動線」を上手にまとめる極意は、キッチンを中心に考えることと、行き止まりがなく移動できるシームレスな回遊動線をつくることです。表と裏の動線を繋ぐことができたら、あなたも動線計画の達人です。
皆さんが、住まう人に日々の生活を分かりやすく楽しくご案内することで、顧客の納得が生まれ、信頼へと発展していきます。プレゼンテーションでは、そこを深掘りして臨場感たっぷりにお話ししてください。
これをお読みの皆さん、「私は、料理したことがない!」などと言わずに、今すぐに様々な「料理動線」を考えてみてはいかがでしょうか。
次回は、「お掃除の動線」について詳しくご案内いたします。
中心になるのは、掃除機を収納するスペースです。皆さん、ご期待ください!
- 一級建築士 / 遊建築設計社 代表松浦 喜則
平成4年、遊建築設計社を設立。「住まいの文化座」を主宰し住宅会社の設計や、 営業マンに提案ノウハウを伝授。合理的で、簡単なプラン提案の手法は好評。年間500棟のプランニング実績から生まれた、接客用ツールを開発。