2020年2月7日

プランづくりのいろは⑫

これからのプランづくりとは?

こんにちは!遊建築設計社の松浦です。
今回で連載は最終回となります。
最後に、私から家づくりの中でとても大切にしていることをお伝えしたいと思います。

改めて、皆さんにお聞きします。
プランの良し悪しとは何でしょうか?

これを理解しないとお施主さんからの承諾が得られません。
良いプランですね、さすがです!と褒められたいのは皆同じです。

それでは、「良いプラン」とは何か?
デザイン性に優れていて、新しい感覚を取り入れた間取りでしょうか。それは、違うと思うのです。そもそも、お施主さんの皆さんがデザイン力を身に付けているわけではありません。
更に、想像もつかない間取りをご覧になっても住み易いのか、居心地が良いのかということも分かりません。

お施主さんからお褒めに預かったのは、住まいたい家の間取りや、お好みの外観デザインを誰よりも理解していて、サッと提案されたからに他なりません。それがお施主さんにとっての「良いプラン」のことです。

従って、私たちが研鑽を積まなければならないことの一つは、ありとあらゆる暮らし方の中から、お施主さんの要望を的確に捉えて提案できるようになること。
二つ目は、お好みの外観デザインをどんな間取りであってもつくれる力を磨くことです。

例えば、夫婦共働きで子育ても含め日々忙しく生活されている方がいらっしゃったとしましょう。彼ら夫婦が井の一番に「家事時間を短く、簡単にできる様にしたい。」とおっしゃられたら、どんな間取りを提案しますか?

収納力のある家を提案。その間取りには、玄関脇に靴や傘、趣味のスポーツ用品などが納められる土間収納庫がある。食品・食器類に加えてトイレットペーパーなどの日常品も収納できるパントリーもある。どちらもウォークインタイプの大きな収納です。
「これで家事がラクになります。」とご説明しました。
本当に、この提案でよろしいのでしょうか?

確かに、収納力は生活の上で重要です。
収納が多すぎるとクレームになることはありません。
しかし、このご夫婦には、使い勝手が良い家を提案するべきではないでしょうか!

私ならば、食事の用意をしながら、子ども達をお風呂に入れることができ、ついでに洗濯もできる動線を持つ家。すなわち、効率よく家事をこなせることで時間短縮になり、暮らしが楽(ラク)になる間取りです。

デザインには自信があり、これが住みやすい間取りであると悦に入っている様な半ば強制的な住まいにお施主さんは満足しません。

これからのプランづくりに必要なのは?

住まうのは私たちではなくお施主さんです。
「お施主さんが住みたいと思う家づくりをいつも心掛けること!」それを忘れなければ、そこには、大きく「うん!」とうなずく笑顔のお施主さんがいらっしゃいます。

松浦 喜則
一級建築士 / 遊建築設計社 代表松浦 喜則

平成4年、遊建築設計社を設立。「住まいの文化座」を主宰し住宅会社の設計や、 営業マンに提案ノウハウを伝授。合理的で、簡単なプラン提案の手法は好評。年間500棟のプランニング実績から生まれた、接客用ツールを開発。

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全国の住宅会社・工務店とともに設立した「デザイン住宅に特化した会」です。時代に合った生活提案力のある商品企画、社員力向上のためのデザイン研修、定期会合や文化交流会(建物見学会)などによる情報交換を行っています。

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