ヒアリングは「ヒクタス」
たった、一回のプレゼンで間取り確定させた!
夢のようなお話ですか?
そんなことはありません。ヒアリングの極意を身に付ければ誰にも可能となります。
そのヒアリング極意とは…、
「引いてから足す」ことです。
今まで多くのお施主さんに聞き取りをして、様々な間取りを創ってきました。制作した間取り数は、たぶん3千プランは優に超えて、5千プランに近づいているかと思います。
そんな私がたどり着いた契約率を上げるヒアリングの方法を言葉に表すと「ヒクタス」なのです。すなわち「引いて足す」ことがお施主さんの求めている間取りにたどり着くことになります。
プレゼンで失敗しない間取りの提案、「これです、この間取りが私たちの暮らしたい家です!」といわれることへつながる秘訣です。
はてさて「引いて足す?」何のことやら、禅問答のようで分かりにくいかもしれませんね。では、もう少しご説明いたします。
スペースの「グルーピング」を聞き取りする
ヒアリングとは、お施主さんが求める部屋の構成を把握し、間取りを確定させていくことです。もちろん、お施主さんが解答を持っているわけではありませんので、お施主さんと一緒に暮らしやすい住まいの在り方を考えていくヒアリングがベストです。
それには、住まいのそれぞれのスペースをグループに分けてヒアリングすることです。個々の部屋(スペース)について、いきなり詳細に触れ、掘り下げていく(深堀される)と頭の中で間取りを構成することが難しくなります。
もっと簡単に間取りを確定するためには各スペースを幾つかの「グループ」にまとめる(グルーピングする)ことが一番わかりやすく整理しやすい方法です。
1階においては、玄関・LDK・階段・水回りグループなどがあり、2階おいては、主寝室・子ども室・多目的スペース・階段グループなどがあります。
聞き取りをするときには、これらのグループ間のつながりを確認し、組み合わせを確定するようにお話を進めていくことが肝心です。そうすることによって、初めてお施主さんが希望する暮らし方を理解できることとなります。
例えば、「共働きなので、洗濯物は室内で干したいです」とお聞きしたら、「それならば、洗面脱衣室で洗濯されて、すぐに2階の多目的スペースで干せるとよいですね」と提案する。
もしかしたらお施主さんは「洗面脱衣室とキッチンは、近いと家事が楽だわ」といわれるかも知れません。どうでしょうか、こんな風にやり取りすると、グループとグループの位置関係(組み合わせ)を決めることになりませんか。
ヒアリング中に間取りが確定する!
この様に、グループ単位で考えるゾーニングを私たちは「ブロックゾーニング」と言っており、建築計画でいうゾーニング手法と分けております。
ゾーニング手法は、とても素晴らしいプランニング手法なのですが、いかんせん経験を要し簡単に間取りをつくることができません。
時間が掛かってしまうのです。
それに比べて、組み合わせの数が少ない単純明快な「ブロックゾーニング」でプランニングする方が、お施主さんが希望される間取りに逸早くたどり着くことに間違いはありません。
さぁーて、さて、お待たせしました!
本題の「ヒクタスでヒアリングすると契約率が上がる」とはいったい何のことか?
それは、一つの敷地につくられる「ブロックゾーニング」の数が約200通りしかないことにあります。たった200通りしかないのであれば、計画敷地に合う全てのブロックゾーニングを洗い出してヒアリングに臨み、お施主さんとの会話の中で希望にかなわないブロックゾーニングを排除していきながら一つのブロックゾーニングを探し確定していきます。
もう分かりましたね。
契約できる間取りをつくるには、全てのブロックゾーニングから「引き算」して、お施主さんに好まれる暮らし方の提案を「足し算」することです。
一つひとつ足し算方式でヒアリングを行った場合には、見落としてしまうブロックゾーニングがあるかも知れません。ゾーニングが違うと、“住みたい”とは思っていただけません。
だから、全てのブロックゾーニングから引き算する方式が良いのです。
本当です、この引き算方式を一度試してみてください!!
- 一級建築士 / 遊建築設計社 代表松浦 喜則
平成4年、遊建築設計社を設立。「住まいの文化座」を主宰し住宅会社の設計や、 営業マンに提案ノウハウを伝授。合理的で、簡単なプラン提案の手法は好評。年間500棟のプランニング実績から生まれた、接客用ツールを開発。