2022年6月17日

イマドキ家族の家づくり3つのポイント【水廻り編】

皆さん、こんにちは!遊建築設計社の松浦です。
このシリーズでは、共働き・子育て世代に選ばれている『人気の間取り』についてお話しさせていただきます。

私たち遊建築設計社では、20年を超える期間の中で、毎年500プラン以上の間取りを計画してお施主さんにお届けしています。
当然ながら、間取りは、建物の性能・技術力の向上や、住まう人の価値観の変化に伴って絶えず移り変わってきました。住まいは、時代と共に志向される暮らし方も生活空間も異なるのです。

本シリーズでは、現在の共働き世帯や子育て世代が求める住まい方を『イマドキ家族の家づくり』と称してご案内いたします。

特に、彼らが「過ごしやすさや暮らしやすさ」のために住まいに取り入れたいことを「3つのポイント」にまとめ、順を追ってお話しいたします。

【3つのポイント】
■ ゆとりある生活を過ごすための『収納』
■ 使い勝手にこだわった『水廻り』
■ 新しいライフスタイルのための『+スペース』

また、私たちは、日々の業務の中で時代の変化を捉えて住まいを計画し、それらを集めて「間取り集・ベストセレクション」を毎年制作し続けてきました。参考資料として添付させて頂きました間取りは、その間取り集に収録されているものです。
解説も含めてご覧ください。

トレンドを捉えた「間取り集」の詳細はこちらからご覧頂けます。

それでは、今日明日に役立つ内容ですので、最後までお読みください。

使い勝手にこだわった『水廻り』

夫婦ともに仕事を持つ子育て真っ盛りの共働き・子育て世代の多くは、お互いを尊重し、すべての家事分担をおこないながら生活を営んでおります。

そんな彼らが求めることは、住まいの中での暮しやすさです。そして、その暮らし方に大きな影響を与えるのは、浴室、トイレ、洗面や脱衣室などの水廻りの使い勝手によるといえます。

例えば、効率よく床面積を小さくするためだけに、脱衣室が洗面と洗濯を兼ねていたら如何でしょうか(3in1タイプの洗面脱衣室・参考図)。

参考図

洗濯をする時間が、朝のシャワーを浴びたり顔を洗ったりする時間帯に重なってしまうと、どちらかを優先することになり一方は待たなければなりません。
また、家族の誰かが脱衣室として使っていたら、そこに入って歯を磨いたりお化粧したりすることがしにくくなります。その一つひとつは、些細なことですが、度重なると強いストレスとなり暮らしにくい住まいとなってしまうのです。

住まう家族の中で、水廻りを使う優先順位などのルールを決めることも大切ですが、その前に、私たちの役割りとしては、「いつでも誰でも自由に使う」ことが出来る水廻りの平面計画をしなければなりません。

それが、今の時代に求められている「住まいづくりへのコダワリ」ではないでしょうか。

誰でも納得する「水廻りの集中レイアウト」

皆さんは、ファーストプレゼンでお施主さんに水廻りの何を伝えていますか?

浴室の広さや洗面化粧台の幅、あるいはデザイン性や機能性について、もしくは、購入する価格の安さ(掛け率の低さ)や値ごろ感ですか?

もちろん、それらを説明しないよりも説明した方が良いですが、それは、お施主さんを引き付けるプレゼンテーションのメインテーマではありません。設備機器は、メーカーのパンフレットやショールーム見学で十分に理解できますし、他社との価格競争を招くようなプレゼンテーションを避ける方が賢明です。

それよりも重要なことは、水廻りの使い方や暮らしやすさではないでしょうか。そのお話に、お施主さんから共感を得ることが出来たなら、プレゼンテーションは成功したと言えます。

私たちのプレゼンテーションでは、間取りを家事中心にご説明することが多いです。
洗濯ならば、日常の生活の中で日々繰り広げられる洗濯の流れ、特に日々の生活をイメージさせるように、洗濯動線を使ってお話しいたします。

皆さん、ここから先は間取りを想像しながらお読みください。

【遊のプレゼンテーション(間取りの説明)】

お風呂に入るときやシャワーを浴びるときに、着ていたものを洗濯機の横に置いてあるカゴへ、あるいは直接洗濯機に入れる。そして、そこからお洗濯が始まります。

洗濯室内には、程よい高さと広さのカウンターを設けましたので、そのカウンターの上で洗濯物を広げて白物と色物に分けてください。汚れのひどいものは、すぐ横にあるスロップシンクや洗面コーナーに設けたシンクを使って下洗いをしてください。

洗剤は、カウンター下に買い置きもできる広めの収納を用意しました。そこから洗濯物に合わせて洗剤、漂白剤、仕上げの柔軟剤や洗濯のりなどを取り出し、カウンター上に並べて使うことが出来ます。

洗濯が終わりましたら、その部屋でハンガーに掛けて室内干しをするか、洗濯物の量が多いときには、洗濯室の引き戸を開け、目の前にある階段で2階の物干し場(サンルーム)へスムーズに移動して干すことが出来ます。
もちろん、お休みの日でお天気が良ければ、物干し場から直接バルコニーに出られますのでそこに干してください。

イマドキは、洗濯した物は畳むことなく干した場所でそのままストックしておき、必要に応じて取り出して着ることが多いようです。今までのように、天気の良い日にまとめて洗濯をし、バルコニーなどで干して、乾いたら畳んで、時にはアイロンを掛けてからそれぞれの部屋に仕舞う。

これは、大変な家事作業となりませんか。

今回の私たちご提案は、イマドキの習慣に習って、家族分の洗濯物が一ヵ所に干せるスペースを屋内に設けたことです。これで、いつでもいつの時間帯でも洗濯ができ、家事仕事がとっても楽になります。もちろん、下着やハンカチなどの小物くらいは、寝室に移動してしまう必要はありますが・・・。

如何でしたか、今のお話しで、間取りが想像できましたでしょうか、洗濯という家事がしやすいと感じて頂きましたでしょうか。

伝えたいことのポイントは、「水廻りを一カ所に集めた間取り」は、とても暮らしやすい!」ということです。

日常の使い勝手を重視した『人気の間取り』

では、今申し上げたことを思い出しながら添付しました間取り(参考プラン)をご覧ください。
この間取りは、ランドリーを中心にまとめられています。

挿入位置

先ず、「ランドリー(2.0帖)」をご覧ください。
ここは、浴室の前室になっていることから、洗濯スペースでありながら脱衣も兼ねていることがわかります。

洗濯機の横には、ハンガーパイプがあります。洗濯物は、洗濯しましたら取り出してすぐにハンガーに掛けて干すことが出来ますね。ハンガーパイプの下には、作業用のカウンターや収納、脱衣カゴを置いても良さそうです。

下洗いは、ランドリーの隣にある「洗面コーナー」のシンクで済ませるのでしょうか。汗が染み込んだアンダーシャツなどを下洗いするために、シンクをやや大きめにすると良いかも知れませんね。

また、洗面がランドリーと別室になっていることから、家族の誰かが脱衣室として使っていても、いつでも誰でも自由に歯を磨いたりお化粧したりすることができます。

洗面コーナーの先には、「ファミリークローゼット」があります。洗濯物が乾いたらここにストックする。あるいは、洗濯物が多いときはここで干すことが出来てとても便利に使えそうです。

更には、「キッチン」からランドリーへ、ランドリーから「階段」を使って2階へ、お風呂に入る前に「トイレ」へとそれぞれが近くにあって移動がとても楽そうです。

この間取りに人気があるのは、日常の使い勝手を考慮して、それぞれのスペースを独立させながら「水廻りゾーン」としてまとめていることにあります。

このゾーンには、ランドリー、浴室、洗面コーナー、トイレやキッチンが動線良く配置されていることが見て取れます。また、収納力のある2.0帖のファミリークローゼット、2階の寝室から洗面や浴室へ行き来する階段までもがゾーンの中に組み込まれています。お施主さんからは、納得の声が聞こえそうな間取りです。

私たちは、暮らしやすさのために「家事を中心」にプランニングし、プレゼンテーションをおこなうことを心掛けています。

それは、たとえ予算や土地の大きさからコンパクトな間取りを創らざるを得なくても、住まいの中の機能性を重視した家事動線の計画が大切と考えているからです。
皆さんも是非、共働き・子育て世代に生活のしやすさ、家事のしやすさを水廻り計画を通じてお話ししてみてください。

次回は、三つ目の新しいライフスタイルのための『+スペース』についてお話しいたします。まさに今、時代の変化にともない新しいライフスタイルに合わせた提案が必要です。共働き・子育て世代が住まいに求め始めているスペースと動線の在り方をお楽しみにお待ちください。

松浦 喜則
一級建築士 / 遊建築設計社 代表松浦 喜則

平成4年、遊建築設計社を設立。「住まいの文化座」を主宰し住宅会社の設計や、 営業マンに提案ノウハウを伝授。合理的で、簡単なプラン提案の手法は好評。年間500棟のプランニング実績から生まれた、接客用ツールを開発。

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全国の住宅会社・工務店とともに設立した「デザイン住宅に特化した会」です。時代に合った生活提案力のある商品企画、社員力向上のためのデザイン研修、定期会合や文化交流会(建物見学会)などによる情報交換を行っています。

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