2018年5月9日

プランニング

間崩れを起こさない家づくり

間崩れを起こさない家づくり

この間取りは、「間崩れをおこしています!」と言われました。

そんなー困ったな~、お施主さんのご希望のとおり、1階には「広いリビング」や、収納力抜群の「シューズクローク」等などいっぱい盛り込んだ間取りをつくってご承認までいただいたのに…。また叱られてしまいました。

構造設計の先生に、或いは上司や先輩に、「間崩れをおこしてはいけない!」と言われたことが誰にも一度や二度あるのではないでしょうか。
その間崩れが、建物にどんなダメージを与え、つくり手や住まい手に影響を与えるのか!?そして、その解決方法は?

今日は、少し真面目にそんなお話をさせていただきます。
可能な限り分かりやすくご説明いたしますのでお読みください。

木造住宅の「間崩れ」って?

まず初めに、住宅業界では度々聞く「間崩れ」とは何でしょうか。
構造がどんな状態になることなのでしょうか?
意匠の設計屋ではありますが、しっかりとお答えします。

一般的に、柱は基準となる寸法(モジュール)に則って一定間隔に立つように設計するのですが、敷地の有効利用や床面積の調整などの諸条件によって、柱の間隔(ピッチ)を変えることがあります。その様なモジュール寸法を部分的にくずした現象が「間崩れ」です。まだ分かり難いですかね!

うーんと例えばですね、モジュールが910mmの場合に、1,820mm間隔に立つ柱が、一部2,000mmとなってしまった。この状態を、「間崩れを起こしている」といいます。皆さん、なんとなくイメージできましたか。

しかし単純に「なるほどー!」とは言っていられません。
そのことが、家づくりにおいては、とても不利な状況を引き起こすことになるからです。

木と構造への影響

では、「間崩れ」が構造にどんな影響を与えることになるのでしょうか?

建物にかかる力(積載荷重、地震力、風圧力など)の流れは、素直に地盤に伝わるように計画しなければなりません。
理想的な構造は、力(荷重)を梁や床根太などの横架材で受け止めて柱に伝え、柱から土台へ、土台から基礎へとできるだけ早く、そして多くの構造材を経由することなく力が地盤へと流れていくシンプルな構造フレームをつくることです。
私たちは、建物全体で均等に力を受けるように梁や柱を配置することが構造的に一番安全と考えて設計しています。

もし、そのような構造フレームが造れなかったとしたらいかがでしょうか?

当然ながら力の流れのバランスが悪くなり、一方に大きな力が流れてしまいますね。そのように一つの構造材に力が集中してしまうこと(集中荷重という)が発生した結果、一部の梁や柱のサイズが極端に大きくなったり、力が均等に地盤へ伝わらなくなって不動沈下が起きたりすることがあります。

想定以上の地震が起きたときに、力が一方向へ集中的に伝わったとしたら、梁や柱のサイズが大きくしたので大丈夫!ではなく、建物全体で地震力に耐える構造の方がよろしくないですか。集中荷重が発生すると、「ひずみ」が生まれてしまいそうな気がしませんか。バランスよくとは、力が一部の梁や柱に集中的に伝わらないことです。

特に、2階の外壁と1階の外壁位置が揃っていなければ、2階の床梁に本来受けなくてもよい屋根や2階の外壁荷重(自重)などの大きな力が伝わることになります。更にまた、その梁が直交する他の梁にかかり、更にもう一つの梁にかかるような設計はもってのほかです。

間崩れ

皆さん、集中荷重を起こすようなフレームをつくってはいけません!不自然で大きな力が発生して構造に悪影響を与えます。
「間崩れ」とは、素直に力の伝達ができない構造フレームのことです。最悪な時には、基準法による許容応力度計算上「NG!」となり構造が成立しないこともあります。

コストへの影響

次に、「間崩れ」が工事費にどんな影響を与えることになるのでしょうか?
大きく二つ考えられます。

一つは、現在の木造住宅が工業化製品(合板やボード類などの建築材料)を使用することによって、生産性や性能の向上、構造上の安全性を図っていることにあります。その材料には当然ながら製品規格寸法があり、この寸法(モジュール)を無視すると、材料の無駄が発生し、施工手間も増えてしまいます。即ち、工事費がかさむことになるのです。これは、住宅会社においても、施主においても歓迎することではありませんね。

もう一つは、構造によるところです。集中荷重が発生することにより梁や柱のサイズが極端に大きくなったり、釘や金物の数量が増えてしまったりしまいます。それによって、材料費と施工手間が増えてしまうことになります。大工さんも含めた関係者一同が疑問を感じるところです。

「間崩れ」の原因は?

「間崩れ」を起こしてしまう原因は様々です。
木を使う構造を知らないという知識不足、契約を取るために顧客の言いなりで間取りをつくる、新しい外観デザインに挑戦してしまうなど…。

しかし、私自身が思う一番の原因は、冒頭に申し上げたようなお施主さんの希望を100%適えるために、1階と2階の「床面積のバランス」が悪くなったことです。
1階に様々な用途(スペース)が求められることに、皆さんも心当たりがありませんか。

例えば、1階に欲しいスペースとして、玄関脇にはウォークインするほどの大きな「土間収納庫」や、キッチン近くには、食品に食器、洗剤やトイレットペーパーの日常品など何でも収納できる「パントリー」が欲しい。浴室や洗面脱衣室などの水回り、できればリビングの延長として使える「和室」も1階に欲しい。そして、何と言っても家族が集まる「リビング」は、できるだけ広くしたい!など。

その一方で、2階に必要なスペースは、「主寝室」に「子ども室」が二部屋、あとは「トイレ」くらいあればよい。といったお施主さんの計画条件が多くなっていませんか。

いかがでしょうか、これでは、1階の床面積の方が2階の床面積に比べて圧倒的に広くなってしまいます。1階と2階の床面積のバランスが悪い結果、外壁が上下階で揃わずに「間崩れ」が起きやすくなってしまいます。

やはり、常に上下階を同一面積・同一形状で重ね合わせたプランニングをしたいところです。

間崩れをつくらない「ブロックプラン手法」

住宅会社には、このような計画条件の中で、希望を100%適え顧客に満足感を与えるプランニングが求められています。如何に「間崩れ」を起こさずにプランをつくるかが今後の課題と言っても過言ではないでしょうか。

私たちは、会社設立時から「ブロックプラン手法」でプランニングしておりますが、この手法が「間崩れ」を発生しにくくしています。この手法の特徴は、すべての計画条件を数値定量化し、顧客の希望をまとめ上げていきます。その時に、1階と2階が同じ条件であり、且つ同一面積のスペースを探し出し、同じ形状でグループ化して上下階を重ね合わせていきます(これをブロッキングという)。

ブロックプランイメージ

例えば、2階の床レベルにある下屋と1階のスペースが同じ大きさで重ね合わせる。或いは、南に面して、1階に12帖のリビングダイニングと、2階に6帖の子ども室を二部屋設ける。まさに、同一面積、同一形状でブロッキングすることで「間崩れ」を防いでいます。

木造住宅には、「間崩れ」は禁物です。
あってはならないことなのです。

私たちが使う「ブロックプラン手法」は、設計の効率化を図りながら、同時に安定した構造フレームを構築するとても優れたプランニング手法です。
定期研修も行っていますので、是非受講してみてください。

畑本 雅子氏
一級建築士畑本 雅子(はたもと まさこ)
遊建築設計社独自の設計手法「ブロックプラン」により、年間500棟の住宅プランニングを行うほか、ハウスメーカーや工務店から依頼された「間取り集の制作」や「商品開発」にも携わる。
女性だけで商品開発した『サンデーラテハウス』・『ココテラス』では、女性たちの要望を取り入れて、間取りや外観デザインなど、全体を取りまとめた。

間崩れのない「遊のブロックプラン」の基礎知識を身につける

・ブロックプランマスター 1つ星 認定講習 参加受付中

家づくりの教科書「いろはにほへと…」は、
遊ベーシックデザインの会 住まいの文化座によって、運営されています。

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住まいの文化座