2018年3月27日

街並みは“屋根並み”。甍(いらか)の波と雲の波

甍(いらか)の波と雲の波

今日は、「外観デザイン」のお話しをしましょう!

皆さんは、『鯉のぼり』の歌を知っていますよね。
どうして外観デザインに童謡が…?

まあまあ、先ずはお聞きください。
小学生の時に、入学と同時に音楽の時間に歌ったかと思いますが…。そうです、端午の節句に歌われる「高ーくのぼるはー、鯉のぼり~」の文部省唱歌です。作詞者は不明、作曲者は引田龍太郎とのことです。

それはさておき、なぜこの歌なのでしょうか?
五月の歌ならば、『背くらべ』や『茶摘み』もあるのに?

いやいや、その歌ではダメなんです。
あっと、それから鯉のぼりといえば「やねよりたかい、こいのぼり~」もありましたが、そちらの歌でもありません。

日本にある「甍(いらか)」とは

ハイ、それでは皆さんご用意はよろしいでしょうか!
声を合わせて高らかにご唱和ください。いいですか…サンハイ、

「甍ーの波と雲の波ー、重なーる波のなかぞらをー、橘かーおる朝風にー、高ーく泳ぐや、鯉のぼり~」

うーん、久しぶりで音程が少し気になりましたが…まぁいいでしょう!

おおーっと、歌の話ではありませんでしたね。本題にはいります。

先ず質問です。甍(いらか)とは、何でしょうか?

私と同じ歳の方なら、当然のごとくお分かりかと思いますが…
そうか、そもそも私の歳を知らない…ん?

甍の語源は、高くとがっている部分「苛処(いらか)」のことだそうです。このことから、日本家屋にある甍とは、家の上棟(うわむね)、家屋の背、屋根の頂上部分を指すことになります。

屋根に葺いた棟瓦(むながわら)の波が、雲の波と幾重にも重なりあい、その中を男の子の出世を願った鯉が勢いよく泳いでいる様を歌詞にしたものではないでしょうか!?

住まいの「街並み」は…

実は、この歌『鯉のぼり』の歌詞が、日本の街並みを表現していると思ったのです。たぶん、そんなことを思って歌っていたのは私だけ?あ、もちろん小学生の私ではなく、この仕事についてからの、大人になってからの私ですが…。

私が様々な住宅の集合体を設計していた時、連棟式の長屋(タウンハウス)や戸建て団地のデザインを考えていた20代のその時に、ふとこの歌を口ずさんだのです。
あっ、これ、これでは??と思ったのです。

「街並み」は、「屋(根)並み」のことではないだろうか!

もちろん日本だけではなく、世界中で屋根に切り分けられたスカイラインが街並みを形成している。その住まいの形、切妻屋根や寄棟屋根、さらには屋根の勾配などが、外観デザインの特徴を伝えているのです。

天高く、空に届くかのように自己主張する急勾配屋根の西洋建築(住宅)があり、住まう人を守り包括するムクリのある屋根や、限りなく地面に接しようと人々を抱え込む反りのある屋根の日本の住宅があります。

屋根の形状は、住まう人のその思想(あるいは哲学)を伝えるために形づくられています。

だから、私たちは「外観デザイン」を考えるときに、屋根のフォルムをとても大事にしているのです。

それを、私たちは「デザインする!」と呼んでいます。

松浦 喜則
一級建築士 / 遊建築設計社 代表松浦 喜則

平成4年、遊建築設計社を設立。「住まいの文化座」を主宰し住宅会社の設計や、 営業マンに提案ノウハウを伝授。合理的で、簡単なプラン提案の手法は好評。年間500棟のプランニング実績から生まれた、接客用ツールを開発。

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